2019年3月24日 有安杏果「サクライブ2019 ~Another Story~」

大阪公演も終わったようですので、日曜日に行ってきた有安杏果「サクライブ2019 ~AnotherStory~ 東京公演」の感想をばらばらと書き連ねておきます。CSテレ朝チャンネルでの放送を待っている方はネタバレになるので、そっと閉じてください。

これまでのソロライブは、仕事と重なっていたり、抽選に外れたりで、一度も生で見たことがなかったので、初体験です。 

会場は、EX THEATER ROPPONGI。玉井さんが出演したサムライロックオーケストラ「オズの魔法使い」以来です。

開場の30分前ぐらいに到着したのですが、特に入場待機列などはできていません。「大丈夫かな?」と思っていると、アナウンスが始まりましたが、かなりのグダグダっぷりでした。最初は、整理番号の記号「AとBに分かれて…」と言っていましたが、少なくとも私のチケットにはそんな記号は入っていません。その後、「通し番号順に呼び出す」と訂正して、1~300と301以降にざっくり分けられます。1人ずつ呼び出していきますが、まあ、進みませんね。せめて、100番ずつぐらいに列を分けて、入場者に任せてもいいから、列を作らせるぐらいのことをすればいいのに…。この辺りは改善の余地ありです。

あと、私が見逃していたのかもしれませんが、女性限定エリアの配置がドア前まで行かないと分からないというのも、何とかしたほうが良さそうでした。


そんなことは、さておき。

1曲目は「Another story」。ライブのサブタイトルでもありますから、当然ですね。有安さん本人の作詞ですが、あらためて今見ると、ももクロ時代は「このままでは先が見えない」「自分の手で自由に作りたい」って、悶々としていたんだろうなと感じます。

昔の彼女なら、ずっと待っていてくれた観客を目の前にして、ぐずぐずと泣き出していたかもしれませんが、楽しそうに笑顔で歌っていました。そこは、強くなりましたね。 さすがに最初のMCでは、ぽろぽろと泣き始めました。それも「みんなが泣いているから」と。「落ち着くために」といって、舞台上を左右に動いて、観客の顔をじっくりと見てまわる。こういう距離の詰め方も彼女らしいですね。「とにかくたくさんの人に聴いてもらいたい」ではなく、「ファンの人に聴いてもらい」という彼女のスタンスがよく分かります。 

エレキ、アコギ、ピアノ(キーボード)も、相当やり込んでいるんでしょうね。「楽器に挑戦!」って感じでもなく、普通に、当たり前のようにバンドメンバーと一緒に弾いていました。ギターは、コードを弾くだけではなく、単音でも弾いてました。エレキのボディの腕があたる部分、擦れて塗装が剥げ剥げになっていましたよ。まあ、こういうのも「頑張ってるアピール、あざとい」って言われるんでしょう。そういうことを想定できない(「想定したくない」かな?)性質なんでしょうね。

楽器を弾きながらの歌が続いていたので、「これもいいけど、もうダンスはないのかな?」と思っていましたが、「Catch up」では楽器を置いて、振りを入れていました。キレキレ、ゴリゴリのダンスではなく、もっと軽いもの。楽しそうにくるくる回っていました。

開演前に、「撮影が入る」というアナウンスがありましたが、キングレコード時代のソロ曲が中心で、「円盤化はできないのだろうなぁ」と思っていたら、この日の公演がCSテレ朝チャンネルで放送されるという告知がありました。円盤化や配信は権利の問題もあって難しいでしょうが、放送ならばハードルは低いのかもしれませんね。

そのほかにも、サントリーのCMの一人バージョン配信、公式HPの開設、オフィシャルファンクラブの発足などの告知もありました。次回のライブや、レコード会社との契約、再CDデビューなどの発表があるのだろうと期待していましたが、それはありませんでした。初めてソロライブに来た人に、「よかったら、2回目も…」と言いかけて、みんなが「おぉ!」となったら、「今のナシ。ぽいっ」て、後ろに投げる所作。大阪公演でzeppツアーが発表されたようですから、「しまった! やっちまった」ってことですね。

一連の報道に関しては、「本当は、この場で直接伝えたかった。うまく行かないもんやね、世の中は」と、笑いも誘っていましたよ。でも、あの場で個人事務所のことはともかく、プライベートのことまで報告されたら、それを初めて聞いた会場は、どんな空気になっていたのでしょう? 見てみたいような、見たくないような…。あと、新しいギターを買ったくだりでも、ちゃんと笑いに持っていっています。案外、強いですね。

もちろん、新曲もありましたよ。この季節にあわせて「サクラノート」(正しい表記は不明)。桜を歌った曲は山ほどありますが、咲いている桜、散ってゆく桜だけでなく、散って地面に積もった桜の花びらを拾い集めるという視点は、面白いと思いました(その場で、聴いただけなので、あっているかどうか曖昧ですが)。

バンドメンバーはステージから降りて、一人で弾き語りの曲もありました。衣装チェンジやバンドメンバーだけでの演奏の時間があるわけでもなく、本人はずっと出ずっぱりですから、大変でしょうね。激しいダンスはありませんが体力的にも、相当キツいはずです。

アンコールは、グッズのTシャツに着替えて登場。

恒例になっている逆再生メドレーもありました。こういうのって他の方のライブではやっていないことなんですかね? レゲエがあったり、ハードロックがあったり、かなり濃いアレンジです。全部をフルでやられると「コレジャナイ」って気持ちになりますが、メドレーなら楽しい。むしろ、もっと聴きたくなる。「これは発明だよな」って思います。

そして、逆再生メドレーということは、最後の曲は1曲目に歌った「Another story」ということ。「Another story」で始まって「Another story」で終わる。「ああ、本当に始まったんだな」と思える、いい演出だ…。 と、思っていたら、その後に2曲。

バンドメンバーが舞台から下がって、ギター弾き語りで「ハムスター」。「ハムスター」は、横アリでソロライブをやると決まって、初めて自分で鼻歌で作った曲。かなり緊張しているのでしょう、指がつってしまって、最初からやり直し。次はコードを間違えて、またやり直し。こういうのもライブの醍醐味です。

そして、最後はキーボードの弾き語りで、今回のライブ開催を発表してからギリギリまでかかって作ったという新曲「にじむ涙」(正しい表記は不明)。腕をクロスさせて、左手で高音部を弾くところが、印象的でした。

最初に作った曲と、最新曲の2曲を最後に歌ったってことですね。これが実質的なアンコールみたいな感じです。

私は音楽のことは分かりませんが、「ハムスター」の歌詞は、初めて作っただけあって稚拙だと思います。発表されたときには「誰かリライトしてやれよ」とも思いました。最新曲は、ライブで聴いただけではありますが、確実に成長しています。

この2曲を聴くまでは「私は何も変わってないので、大丈夫。これからスタートします」という趣旨のライブなのかと思いながら聴いていました。つまり、新しい活動に向けての顔見せのような感じ。でも、最後に仕込んであった2曲によって、「どんどん進化していってるやろ。まだまだ、やったんでぇ」という、もうちょっと強めのメッセージを感じたのでした。