映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」

「ボーダーライン」の2作目、「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」。まず、これは、続編というのが正しいのでしょうか、スピンオフというのが正しいのでしょうか? 前作の一応の主人公であったケイトは出てきません。したがって、スピンオフとも言えます。そして、前作の実質上の中心人物であった、マットとアレハンドロを中心に話が進んでいきます。そういう意味では、続編ですね。

冒頭のシーンから、いきなり「???」と混乱。カンザスのスーパーマーケットでの自爆テロ事件、そしてソマリアの海賊を締め上げるマット。 「あれ? メキシコ麻薬カルテルの話なんじゃないの?」と思っていると、ISISのテロ要員をソマリアの海賊からメキシコ経由で、麻薬カルテルが密入国 させているということ。海賊も麻薬カルテルも多角経営の時代ですねぇ。

そんなわけでは、やはりボーダーラインの話でした.。

メキシコの国境の街は、さらにえげつないものになっていました。あんなのが日常の風景だったら、そりゃあ、アメリカに逃げたくもなりますよ。 トランプさん、壁なんか作ってる場合じゃないよ。

しかも、今回の作戦は、カルテルのボスの娘を誘拐して、ライバル側のカルテルの犯行に見せかけ、両陣営の抗争を激化させ、潰し合わせるというもの。完全に汚れ仕事です。

これ、やり口としては、アウトレイジで見たことのあるやつですね。しかも、仕掛けるのはヤクザではなくて、アメリカという国家。バレたら国際問題です。まあ、マットとアレハンドロの本領発揮というところでしょう。

そして、このボスの娘イザベルが、なかなか大物感があって、いいですね。アレハンドロやマットが同情してしまうのも無理もないくらい、人をひきつける力があります。結局、彼女の存在が、ザラザラ、ヒリヒリした非情なドラマだったはずの本作を、ずいぶんヒューマンな方向に持って行きました。

サイドストーリーの少年の、物語への絡み方もいいですね。なんとなく「ムーンライト」を思い出していました。

ただ、ラストへの展開は、続編ありきで、ちょっと物足りなかったです。 特に、カルテル同士の抗争については、結局はうやむやになってしまった感があります。

まあ、続編が封切られたら、きっと見ちゃうんだけど。