映画「翔んで埼玉」

スニークプレビュー(シークレット試写会)で観ました。

GACKTと二階堂ふみが、揃って男子高校生役という時点で、相当ふざけたギャグ映画であることは間違いありません。でも、安っぽい感じはないんですよね。ちゃんと作っていることは伝わってきます。やたらとキャストが豪華だし。


観ながら、なんとなく「テルマエ・ロマエっぽいな」と思っていたら、同じ監督なんですね。あちらは、阿部寛が古代ローマ人という、これもまた無茶な配役を押し切って、出落ちで笑わせて終わるのではなく、違和感なくストーリーで笑いに持っていっていますから、そういうのが得意な監督ということなのでしょう。

原作は未読ですが、そのまま映画にしたわけではないようです。この映画の中では、原作のバーチャル関東の世界の物語を、現実世界における都市伝説の再現(ラジオドラマ)ということにして、現実世界のドラマも並行して進んでいきます。つまり、「埼玉差別はあくまでも都市伝説。架空のお話ですよ」と、あらかじめ逃げを打っているわけですね。もちろん、こちらは、架空の話であることは承知のうえですが、いまどき、どんなことにも文句を言いたい人はいるものなので、なかなか上手いやり方だとも言えそうです。

また、千葉県を登場させたのも、さらに多くのネタを仕込むという点で、成功していますね。ドラマ性も増しています。 現実世界のパートも、しっかりと笑いをとれていますし、ちゃんとオチもついています。

熊谷に住んでいるお父さんのライフスタイルが、なぜか海の家の店主っぽいところは、誰にも触れられていませんが、地味に面白いポイントになっています。

ちょっと不満点を言えば、Z組の生徒たちが、いまいち活躍しないところ。もっと重要な役割を担うのだと思っていました。麗や百美と同じ世代のなのですから、彼らにも、もっと希望があってもいいかな、と思いました。

まあ、この映画に腹を立てる埼玉県人はいないでしょうねぇ。埼玉内輪ネタが満載のこの映画を最も堪能できるのは、埼玉県人なのですから。 

(スニークプレビューで見たため、劇場公開版とは細部は異なるかもしれません)