映画「THE GUILTY/ギルティ」

TBSラジオのアトロクで、何度か紹介されていた「THE GUILTY/ギルティ」

警察の緊急コールセンターに掛かってくる電話のやりとりだけで進んでいく誘拐事件の捜査ということで、かなりワクワク感を上げて見に行きました。

主人公のアスガーは、緊急コールセンターのオペレーターをしているのですが、どうやら訳アリで、現場から外されて、この職場にいるらしいことが冒頭で語られます。 電話を掛けてきた相手の話と、PC画面に映された電話主の情報などから、推理をめぐらせ、電話主が隠していた情報までも聞き出して、緊急度合いを判断し、担当の警察に対応の要請を出していく。現場でも腕利きだったのでしょう。 

本筋に入る前のいくつかのエピソードで、彼の立場、現在の仕事、能力や性格などを紹介していく流れは、上手いなぁと思いました。

でも、明らかに勤務態度には難アリです。私用電話をしたり、緊急コールセンターの持ち分を越えた行動をとってまで強引に事を解決していこうとするのです。それ自体は、問題ありません。いや、この映画の中の世界では問題アリなのですが、こういう人物がいるからドラマが動いていくのです。

ただ、メインストーリーの誘拐事件に入っていくと、どうしても彼の言動にひっかかるところがありました。電話でのやり取りという少ない情報の中で、たくさんの可能性があるにも関わらず、すんなりと推理を絞っていきます。その状態で、緊急コールセンターの持ち分を越えた行動がどんどんエスカレートしていきます。

主人公と同じように、観ているこちら側も、受話器の向こう側の様子に耳をそばだてて、集中して情報を収集し、思考をめぐらしていますから、「いや、ちょっと待って、それはマズいよ」と、何度も言いたくなります。

そう思いながら見ていると…


…と、このあたりまでにしておきましょう。

もう少し気持ちよく観客を騙してほしかったというのが正直なところです。ちょっと、こちらが構え過ぎだったかもしれません。

それでも、後半のドラマは、十分引き込まれていきます。むしろ、そこからが本編です。

何が「ギルティ(=有罪)」なのかも、考えさせてくれます。