映画「search/サーチ」

昨日11月1日、ファーストデーということで、なんとか定時をちょっとすぎたぐらいで、仕事を引き上げ、TOHOシネマズ新宿で「search/サーチ」を観て来ました。

感覚的にはほぼ満席でした。

全編PC画面で展開される映画ということで、「さすがに、それは退屈しない?」と思っていましたが、冒頭のシーンだけで、子どもを持つ親としては、こみ上げてくるものがありました。  

スクリーンをデスクトップ全体の映像に固定しているわけではなく、デスクトップの一部にズームインしたり、さらには、テキストボックスの超アップなど、思ったより変化がありました。さらに、カーソルの動きだったり、テキスト入力のスピード、入力し直したり、送信を躊躇したりといった、ある意味「アクション」で感情が表現されるという面白さもありました。 

よく考えたら、実際の私たちの生活も、1日のうち、かなりの時間をPCやスマホの画面の前で過ごしているわけで、ある意味、めちゃめちゃリアリティのある表現ですよね。 

なんとなく、思い浮かべていたのは「クロニクル」。あちらは、全編が、主人公の自撮り映像だったり、防犯カメラ、ニュース映像といった形で構成されていました。ただ、主人公の超能力によって遠隔自撮りが可能で「それアリか?」と思ったものです。同様に、本作でも、「それはFaceTimeでやり取りすること?」と思ったりするシーンも多々ありました。まあ、許容範囲だとは思いますが。

物語としては、最初は、「渇き。」のような、父親が知らない娘の真の姿が明るみになって、どんどん父親が暴走していく展開なのかと思っていましたが、事件性を帯びてきたあたりからは、ミステリー的な要素のほうが強いですね(「渇き。」もミステリーですが)。 

そのミステリー展開とPC画面の表現の相性もいいです。すべてがPC画面上で展開されるということは、それ以外のことは分からないわけですから、その裏で、実際の登場人物がどう動いているのかは、私たちには分かりません。さらに、画面上に映し出されているものが、真実なのかどうなのかも分かりません、これはミステリーを作りやすいですよね。  

また、「そういえば、あそこにいた人って、もしかして…」みたいに何かひらめいて記憶をたどるとき、普通の映画では脳内の回想がフラッシュバックとして表現されるわけですが、本作だと、アーカイブされた画像を開き直したり、Webページを見返したりするわけで、とても現実的な表現です。 

そうやって、二転三転していくストーリーが、緻密に作られています。 ネタバレになりそうなので、それ以上のことは、言えません。 

そして、根本にあるのは、親と子の関係性の物語。 最初は、「子どもの行動や交友関係を把握できていない、最近の親」みたない問題を提起されているのかと思っていましたが、ラストの展開を踏まえると、実は問題はそこではなく、もっと別の意味で、子どものことを分かってあげられているかが大事ということなんでしょうね。 

でも、難しいものですよ。 私も、「ママも、そう思ってるはずだよ」は、あの状況で娘に反省をうながす言葉としては反則、言っちゃいけない言葉ぐらいに思っていましたから。