映画「グレイマン」

【ベタベタな物語に、アクション全部載せのマシマシ】

殺人で服役中のジェントリーは、CIAにスカウトされ、減刑と引き換えに暗殺部隊シエラの工作員シックスとなった。バンコクでの任務のターゲットは、同じシエラのメンバーのフォー。フォーはCIA内部のある機密を収めたチップをシックスに託す。CIAはチップ回収のために、目的のためなら手段を選ばない凶悪な男ロイドを派遣。シックスは、一転して追われる身となって…という物語。

Netflix映画ということで、イオンシネマで鑑賞。これを、自宅のTVやPCで観て楽しめるのでしょうか。劇場は、自宅環境との違いを出したいのか、こころなしか音響の圧力強めでした。

正直言って、どこかに転がっているようなストーリーです。ただ、まったく飽きることは、ありません。今どき、CGを使ってどんな映像でも表現することはできるのでしょうが、それをどう見せるか、生身のアクションとどう融合させるのかで、やはり受け取り方は全く変わります。

前半で驚いたのは、輸送機の中でのアクション。自分も飛行機の中にいる感覚になる、目がまわるような展開。「あんなことにならなければいいのに…」と思う事態に、確実に進んでいきます。何をどうやって撮影しているんだろう?

そして、プラハの市街地戦。ただ巻き込まれているだけのプラハ警察が可哀そうになるぐらいに、街中を破壊していきます。路面電車があんなことになるなんて…。ドンガラガッシャーン!という派手なアクションだけでなく、向かいのビルに映る敵の姿を確認しての攻撃など、ちょっとした仕掛けも楽しいです。

ライアン・ゴズリングは、社会派からラブストーリー、SF、コメディ、アクションと、役の幅が大きいですね。今回は、体も仕上げてきています。いつもどこかちょっとダメなところがあるような役柄というイメージなのですが、今回は無敵。クリス・エヴァンスは、キャプテン・アメリカの正義バカから、今回は残虐バカと、振り幅が大きい(褒めてます)。

気になるのは、「ロイドって、本当に有能なの?」というところ。残虐で卑怯であるとは間違いないのですが、ことごとく失敗し続けています。ただし、そこもうまく人間関係が配置されていて、本部長が彼をアサインし、チップ回収の責任はスザンヌに任せることで、スザンヌは彼をコントロールすることもクビにすることこともできないので、暴走をゆるしてしまうことになっています。

そして、何と言っても、アナ・デ・アルマスが、抜群にかわいい。instagramなどを見ていると、普段は強めのメイクが多いのですが、作品に出るときは、彼女の愛らしい童顔が活かされています。ライアン・ゴズリングとは、「ブレードランナー2049」のコンビですね(クリス・エヴァンスとは、「ナイヴズ・アウト」で共演してますね)。「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」よりも、はるかに活躍する場は多いです。アシスタントではなく、パートナー。恋愛関係・肉体関係にならないのもいいですね。そして、今回は露出は控えめ。

ただ、クライマックスの一番の盛り上がりのタイミングでは、ほぼ空気になってしまいます。普通は、狙撃するよね。あの時間、何をしていたのでしょう? クレアをケアする側にまわったのかな?そんな描写なかったですよね。そのあたりが、ちょっと残念なところ。シリーズ化されるなら、ミランダ主役のスピンオフを期待してしまいます。

エンディングの落とし前の付け方も、まあ、シリーズ化される作品には、よくあるタイプ。ただし、本部長のカーライル、お前だけはもっと酷い目にあってくれないと、帳尻が合わないぞ。

それは、次回作ということなのでしょうか。