オンライン試写会「シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち」

装苑さんのTwitter企画で当選して、オンライン試写会で拝見しました。

実在する、ゲイの水球チーム「シャイニー・シュリンプス」の話なのですが、そういうチームがあることはもちろん、ゲイゲームスというLGBTQ+のオリンピックとも言える大会があることも知りませんでした。

オリンピックメダリストの水泳選手マチアスが、同性愛者に対する暴言への代償として、ゲイの水球チームのコーチに就任し、クロアチアで開催されるゲイゲームス出場を目指す物語ということで、「LGBTQ+版がんばれベアーズ」的なものを想像していましたが、ちょっと違っていました。

まず、シュリンプスの面々は、試合に勝つことが目的で水球をしているわけではないということ。もちろん、勝てば嬉しい、負ければ悔しいのだろうけど、それよりも「堂々とプレイして、楽しむ」「ゲイであることを謳歌する」そのこと自体が目的なのだと感じました。

最初にちょっと引っかかったのは、字幕がいわゆるオネェ言葉で、「この映画で、それはダメなんじゃないか?」と思っていたのですが、話が進んでいくと、どうやらそういうしゃべり方なのはほぼほぼ1人だけで、いろいろなタイプの人がいるということが描かれているのだろうと思いました。

また、各メンバーが抱えている事情も様々で、一括りにして見ちゃいけないということがよく分かります。そして、彼らも、別のマイノリティに対しては偏見たっぷりで見ていて、さらにそのことを正当化するような言動もあり、マイノリティとして生きづらい人生を送っているからといって、彼らのすべてが正しいわけでも、もちろん聖者であるわけでもない、特殊な人間ではないということも描かれています。

ただ、マチアスが、シュリンプスに共感していくプロセスは、もう少し丁寧に描かれていてもよかったかな、と思います。全体的に、テンポよく進んでいきますので、そちらを優先したということなのでしょう。

ゲームとしての最後の展開は、「それアリなの?」と思いましたが、どうやら、アリなようです。むしろ、大会の趣旨から考えると、大歓迎しているのかもしれません。

そして、ドラマとしての最後の展開。フレッドは、ずっと閉会式の振り付けを指揮してきましたが、「そういう意味での閉会式か!」と、してやられましたね。ぐっとくるシーンです。

さらに、このシーンも、全員一致で感動!ということではなく、これを良しとしない人、退席する人もちゃんといます。物語としては、そういうものがない方が盛り上がるのだとは思いますが、物語への同調圧力みたいなものが排除されていて、真摯な作り方だと感じました。同性愛者への差別的な言動は許されませんが、これはまた別の話ですものね。

下品だったり、お調子者だったり、ダメ人間だったり、でも、生きることにクソ真面目で、どうしても譲れないものがあって…、あまりにも単純なキーワードですが、「多様性」について、考えさせられる作品でした。