映画「砕け散るところを見せてあげる」

【青春コメディ→サスペンスホラー→え?やはりラブストーリーだったの!】

filmarksさんのオンライン試写会でずいぶん前に視聴した作品ですが、上映が始まったので、ブログの方にもあげておきます。

ヒーロー願望の強い高校3年の清澄は、学年一の嫌われ者と言われてる1年生の玻璃を、周りの目も気にせず、いじめから救い出そうとする。玻璃も清澄に心を許すようになるが、彼女にはいじめのほかに誰にも言えない問題を抱えていて、清澄も巻き込まれていく…という物語。

まずは、ちょっと、独り言セリフが多すぎるかな、と感じました。行動やセリフとは異なる心情を心の声として発するのはまだいいのですが、誰もいない場所で、それほど言葉を発しないでしょう。心情や状況をわざわざセリフで説明して、これが多いほど、コントを見ているような気分になります。

ただ、前半は、イジメという重めのテーマを扱っている反面、セリフや演出はコメディタッチだったりするので、それも許容していました。清澄と玻璃や尾崎姉妹とのやりとりは、リアリティには欠けるのですが、演劇的というか、言葉のチョイスが独特で、楽しく見ていられました。「割れ目に対して直角、クロス」は、アタマに残ってしまいます。

そんな青春コメディタッチの前半から一転、後半はぐっとサスペンスホラー方向に物語が展開してきます。農道での自動車の動き1つで「これは、かなりヤバい」と思わせてくれる感じもいいです。もちろん、その後の堤真一の演技も、さすがです。

ただ、そこでの清澄の母のコミュニケーションの取り方も、常軌を逸しています。おしゃべり好きの範疇を超えていて、こっちはこっちでヤバそうとまで思ってしまいます。そりゃあ、相手が気を悪くするのも当然で、玻璃の父のヤバさの印象が薄れてしまっています。

ほかにも、ところどころ気になる展開、演出がありました。

「この寒い時期に…」とセリフにあるのですが、まったく画面が寒そうに見えないんですよね。吐く息が白くなったりもしません。トイレの中のシーンも、「冷えて危険」という感じには見えないんですよね。もっと、唇が青くなったり、歯がガタガタするぐらい震えているんじゃないかと。

そして、ちょっと前半で匂わせ過ぎのような気もします。もっと、すっと聞き逃しそうな普通のセリフで、後から考えたら「そういうことだったのか!」と思わせて欲しかったところ。手のあざを見せてしまうのではなく、「シャツの袖を捲り上げない」ぐらいの表現にするとか。

後半のサスペンス展開で、詳しくは書きませんが「え? そこで、なぜ池に行くの? まずは市立病院でしょ」という疑問もあります。お母さん、どうなったんだよ!

さらに言えば、冒頭のシーン。北村匠海を贅沢に使っていますが、もっと幼い時代のシーンにすることで、本編との時系列をあいまいにさせておいた方が、後々のシーンが活きてきたような気がします。

主役の2人も、共演のキャストも、みんなハマっていたので、もっと面白くなりそうな気がしました。

それもこれも、みんなUFOが悪いのかな?